どちらを読んでも問題はないのですが、改訂版の方が完成度は高い・・・と思います(汗)
ので、こちらに来てしまった方は申し訳ありませんが、一度戻り、改めて改訂版の方をご覧ください。
これを残しているのは、自分の書いたものであるし消してしまうのはもったいないという貧乏性の故ですw
改訂版と比較するのも面白いかもしれませんので、もし興味のある方はコメントも読みつつしてみるのもいいかもしれません。
・・・まぁ、あんまり面白くないと思いますけどね(マテ
以下、↓からが本文です
長い歳月をかけてか、それとも一瞬で死に追いやるのか。
祖母の告げた嵐という言葉が、呪詛のように頭から離れない。これがわたしをここまで悩ませるのにはいくつか理由がある。
ひとつは、それが祖母の口から出た―――ということ。祖母にとって、ニュースで告げる台風は「嵐」とイコールではない。嵐という意味には「激しく平安を乱すもの」、「荒れ狂う現象」というのがある。台風とは一味違い、なんというか・・・ランクがひとつ違う、と考えてもらえれば分かりやすいかもしれない。
いわゆる、観測史上最大レベルの物が来ることを暗に示している。それをいかなる手段で知りえたのか、という回答は比較的容易だ。
祖母はよく空を見る。遠くをジッと睨み据え、流れる大気に身を任せた自然体で、わたしには見えないさまざまなモノたちから、風のうわさでも聞きつけたりしているのだろう。目を閉じれば、それが当たり前のことのように、映像として頭に浮かぶ。
飛ばされた葦にしがみ付いて災害を告げるモノ。安全な場所へと慌てふためき移住するモノ、逆に嵐の到来を喜び今か今かと待ち望むモノ―――。
形はどうあれ、かれらの存在はわたしにとっての生活の一部。祖母ほど高位の存在を感じることはできないが、良くも悪くもわたしも彼女の血を引いている。だから、かすかではあるがその気配を感じることが出来る。
鳥居に向かう途中の道すがら、いつもよりも「かれら」の動きが乱れているのが分かるのもそれのひとつ。わたしのような存在を珍しがって、声をかけてくる連中は今日はゼロ。関心がないというより、かかわっている余裕がないといった感じ。きょろきょろと周囲を窺っては、すぅっと消えてしまうモノや、下水へ繋がる蓋を抜けて下へもぐったりと、こんな活発な動きを見たのは初めてだ。それほどの災害がくるということを示している。
だから、よりいっそう祖母の科白が重くのしかかり、そして逆にわたしの足取りは速くなる。出かける当初に楽観していた余裕はもう、どこにもない。
二つ目の理由である、あの鳥居が心配なのだ。
遠目には立派なあの鳥居も、間近でみると相当の時代を経てきたことが分かる。柱はボロボロ、塗っている漆は定期的には塗っているようだが、それも一時しのぎでしかない。中も相当虫食いにあっているはずだし、耐久性は言うまでもないこと。
わたしがそんなことを知っているのは、以前、いつものように鳥居にもたれているわたしの横で、神主さんと建設業者が立ち話をしていたからだ。話していたのは、鳥居の建て直しについて。専門的な用語が多くてわたしには理解できないことも多々あったが、要約すれば先ほどわたしが語ったようなことで、今後のことを話し合っていた。
だから、祖母の言う嵐が来るとしたら、果たしてあの鳥居は無事ですむのか。
そして、そういう場所であるがゆえに、あの子がいなくなっているんじゃないかという不安に襲われた。いやな予感がわたしを駆り立てる。
胸が痛い。
それが走り続けているせいなのか、それとも別な理由からか・・・
中学校のコンクリート校舎が見え、いつもの砂利道を抜け―――そして、ようやくたどり着く。
肩で息をしたわたしが呼吸を整え、顔を上に上げる。
清閑な神社、遠くで聞こえる子供たちの歓声、古ぼけた鳥居、そして―――
切れ切れに、わたしは告げる。
「・・・まだ、泣いてるの?」
鳥居の上に、いつもの男の子が泣いていた。
いた。いてくれた。
それだけのことがとても嬉しい。安堵のため息というのも、泣いている子の前で失礼な気もするが、とにかく気を落ち着け口を開く。
「きみは避難しなくていいの? みんなどこか騒がし―――」
そこまで言ってわたしは躊躇う。この子が、ここに未だ居るという事は、この騒ぎに気づいていない・・・つまり、景色や音が聞こえていないという、以前にわたしの考えていたことが正しかった査証なのではないかと思ったからだ。
いや、そうじゃない。その考えは根本からおかしい。同じ「世界」に住むかれらの動向を、そもそも彼がつかめていないはずがないのだ。
ならどうして、ここに居続けるの?
どうして避難しようとしないの?
聞こえなくてもいい。届かなくてもいい。少なくとも私自身が何かをしたいという衝動に駆られて、泣き続ける男の子に顔を向けた。
「みんな騒がしいし、どこかに避難してるよ? ここに―――鳥居の上にいたら危ないよ! 今日の嵐できっと倒れちゃう!!」
その言葉を、確かに少年は聞き取ったと、わたしは確信する。
“倒れる”という言葉に反応して、びくりと体が震えたのだ。
「聞こえてるんでしょ? 早く逃げて。じゃないと・・・」
話を遮るように、少年は無言で首だけを振る。そして、聞こえなかった泣き声が、いつの間にか聞こえるようになり、次第に激しさを増していき、わたしの鼓膜を刺激する。
「イヤなの? なんで、どうして?」
ようやく意思疎通が可能になった嬉しさよりも、困惑がわたしを支配していく。泣き声は既にヒステリーに似た悲鳴に近いものへと変わり、セミやひぐらしと唱和してわたしのかだらを叩き続ける。
わたしは呆然と彼を見る。
どうしてそんなに拒絶されるのかが分からない。二週間前から今日に至るまで、会話はなくても、わたしと彼との間には疎通できた何かがあったはずなのだ。なのに、それがこの悲鳴でどこにも見つからない。
見つけられなくなって、どうしようもなくて、わたしは途方にくれてしまった。
結局、何もできずに終わってしまう。語りかける気持ちすら否定されたわたしに出来ることといったら・・・ただ無言で帰ることしかなかったのだ。
その日、蚊帳にもぐりこんだわたしの世界を覆ったものは、叩きつける雨音と暴風の暴力ともいえる破壊。すべてをなぎ払う災厄に飲まれながら、わたしが考えていたのは、ただ、ただ・・・鳥居の少年の安否だった。







コメント
まさか本当に書ききれるとは・・・
それをやると読者のイマジネーションを邪魔すると思い、少年が何なのかについては極力書かないようにしました。
・・・想定以上に、主人公を孤立化させまくっているような・・・(汗
今回は筆の赴くままにつらつらと書いていったので、説明不足ぎみなところもあるかもしれません。物足りない、もうちょい説明ほしいという所があればコメントで書いていただけると嬉しいです。場合によっては書き直してもいいと思っていますのでw
そういう修正が出来るのが、ブログでの小説掲載のメリットだと思いますし、なにより読者がつまらないと思っているものをそのまま載せ続けることは、管理人にとって苦痛ですから・・・
で、今日はこれ以上のうpはしません。用事もありますし、続きは明日以降ということでw
神谷 悠 [URL] #wyPnW/yE | 2005年08月20日 01:26:45 [修正]
どうコメ入れようかと
待ちます。
追伸
前回の「目覚めるときだよ」はAIRに掛けたものではありません。ギャグっぽく言うと
「目覚めよ サイキッ(ry」(核爆
そして、この4話の展開。ニヤリ(・∀・)しかけたのは内緒w
ごす [URL] #ilk/GieM | 2005年08月21日 11:48:56 [修正]
サイキッ(ry
きっちり終わらせ、「面白い」と言われたい私自身の欲望のために(笑)
神谷 悠 [URL] #wyPnW/yE | 2005年08月21日 13:11:32 [修正]
原版から先によんでみてみた・・・
ブギープップは、ご存知だと思うので、ああいう感じで私の視点、おばあちゃんの視点、少年の視点で話をかいていって話を交差させると面白いと感じました。
次は、改訂版!
セトラ [URL] #QBs7AdsI | 2006年03月23日 23:00:07 [修正]
視点変更は・・・
・・・・・・・・・・まぁ、忙しくて最近全然書いていないですが(汗
かみかみ [URL] #wyPnW/yE | 2006年03月24日 01:09:50 [修正]